ラーメンブームの火付け役といえば、大勝軒の故・山岸一雄氏、支那そばやの故・佐野実氏、家系ラーメンの開祖・吉村家の吉村実氏、そしてなんつっ亭古家一郎氏だろう。関東では馴染みのなかった黒マー油を取り入れたラーメンはラーメンファンの心を掴み瞬く間に行列店として繁盛した。ブームが落ち着いた後でも古家氏本人が「らっしゃいませー!」と小気味良い挨拶でお客に目配せしながら焼豚を切る姿はヤンキーというイメージとは裏腹におごらずに実直な方だと実感しました。

今回は当チャンネルでなんつっ亭の味をベースとしたラーメンのレシピ動画をアップしましたので是非ご覧ください。
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なんつっ亭リスペクト黒マー油ラーメンの制作コンセプト

なんつっ亭のラーメンは熊本発祥のラーメンをベースとしたオリジナルです。熊本ラーメンの特徴として豚のかしらを使います。クリーミーで濃厚なダシが取れますが、豚のかしらは臭みも強く、非常に癖のある風味で人を選ぶ食材です。なんつっ亭ではその匂いを極力抑えクリーミーな味わいだけを抽出し関東人の舌に合うよう調整されています。

今回は本格的にレシピを再現せず家庭でも比較的に手に入りやすいゲンコツと豚ガラ、背脂をメインにダシを取っています。このような素材はスーパーではなかなか手に入りにくいですが、肉のハナマサやロピアなどに置いていることもあります。私の定期的に本格ラーメンを作るのであれば、個人で経営している精肉店に聞いてみると良いでしょう。そのような精肉店の多くは業務用をメインに扱っているため分けてくれます。裏メニューのようなものなので、タイミングによっては分けてもらえない日もあるので数店舗そういうお店を知っていると良いですよ。

なんつっ亭の麺は九州ラーメンと違い中太麺を使用しているのも特徴です。これが業務用スーパーにある乾麺の中華麺が非常に近かったのでこちらを使用しました。

このように比較的手に入りやすい食材で作っているので、是非自宅でもお試しください

なんつっ亭リスペクト黒マー油ラーメンの作り方

 

材料

スープ

水・・・・・・4リットル

げんこつ・・・1本

豚ガラ・・・・1kg

背脂・・・・・500g

ニンニク・・・1個

タレ(4人前)

薄口醤油・・・60g

みりん・・・・60g

塩・・・・・・12g

ハイミー・・・6g

 

 

焼豚

豚ロースブロック・・1かたまり

醤油・みりん・・・・適量で1:1の割合で使用

ハイミー・・・・・・適量

具材

もやし・味玉・きくらげ・わけぎ

黒マー油の作り方

※黒マー油の作り方から始まります

背脂を細かく刻み、サラダ油やごま油を鍋底がひたひたになるくらい入れる。弱火で温めながら細かく刻んだ背脂を入れる。背脂が鍋の縁など鍋肌に当たると焦げやすいため油と絡めながら炒めていく。そうすると最初に入れた油が呼び水となり徐々に背脂からラードが抽出されます。弱火で120度ほどの温度でも油が抜け切ると背脂がきつね色になります。ここで背脂を取り出しておきます。ちなみにこの揚げた背脂は「肉かす」と呼ばれ、富士宮焼きそばの具材として使われます。もちろんラーメンのトッピングとしても美味しいです。買うと結構するので冷凍保存して様々な料理に活用できますよ。

この工程が面倒な方は市販のラードを使用してもOK!

ニンニク1個をすべて使用します。輪切りにしてさきほどの油に冷めた状態から投入し弱火で揚げます。この時重要なのは170度以上で揚げない事です。ニンニクを揚げるのは水分を飛ばすためです。水分が飛び切らないうちに黒くなってしまうと苦味だけが残ります。

鍋の大きさにもよりますが約20分間揚げ続けると、水分が完全に抜け切るとニンニクが色づき始めます。そうしたら、まずきつね色のを1/4程度掬い、もう一段階色が濃くなった同量すくいます。色づき始めるとすぐに焦げるのでこの段階で火を止めて、こげ茶色になったらすべてすくいます。このタイミングで引き上げると苦味の中にほのかにニンニクの甘みが残る最高のマー油が作れます。

ちなみになんつっ亭さんでは7回に分けて取り出すようです。

取り出した揚げニンニクをフードプロセッサーなどで砕いた後、すり鉢で丹念に砕いていきます。そして揚げ油を少量ずつ加えながら伸ばして適度な粘度が残るくらいまで加えたら完成です。

タレの作り方

※たれの作り方から始まります

材料

タレ(4人前)

薄口醤油・・・60g

みりん・・・・60g

塩・・・・・・12g

ハイミー・・・6g

薄口醤油・みりん・塩を合わせた調味料を火にかけながら塩を溶かしていきます。泡立ち始めたら火を弱め沸騰しないように注意します。その状態を保ち2〜3分でアルコールが飛んだら火を止めてハイミーを加えます。

ハイミーと味の素の違いは?・・・意外とご存知ない方も多いと思いますが、味の素に旨み成分のグルタミン酸とイノシン酸の2種類が配合されています。グルタミン酸は昆布を代表とするアミノ酸で、イノシン酸はかつお節をはじめとする魚、そして肉類に含まれているのがこの成分です。

ハイミーはグルタミン酸・イノシン酸の2つに加え、グアニル酸という旨み成分が含まれています。このグアニル酸という成分は干し椎茸に多く含まれる旨み成分です。ちなみに貝類や清酒に含まれる旨み成分はコハク酸。栄養剤などで有名なアスパラギン酸も旨み成分の一つです。名前の通りアスパラガスに多く含まれていますが、鳥豚牛肉や鰹節などにも含まれています。

これらはいわゆるタンパク質から生成されるアミノ酸ですが、旨味成分だと初めて発見したのが日本人です。戦後間もない頃、味の素は爆発的に普及しましたが、常に公正を保つため、商品名を言えないNHKが味の素を「化学調味料」と称したのが始まりとされています。当初は化学=新しいという認識であったため良かったのですが、健康志向が強まった現在では化学=自然ではないというマイナスイメージが強くなってしまい風当たりが強くなってしまいました。

安全な水も、スーパーに立ち並ぶ食材もすべて科学によって衛生管理を担保されているのに何故か旨味調味料だけ叩かれるんですよねえ。。スーパーの肉が何故赤いのか?気づかないんですかね?添加物の安全性は日本が世界一長寿って事でエピデンスとれてるのに何故か危険視され続けてますよね。

もう20年ほど昔になりますが、先に挙げたラーメンの巨匠たちがフリーペーパーの対談でハイミーを使っている事を語った事で衝撃を与えました。

美味い=無化調を信じていたグルメを気取ったラオタたちが自らの駄舌を恥じるあまり、化学調味料への敵視を強めたのも今は昔と思っていましたが、こういう人がリュウジのバズレシピを批判する勢なったんだなあと感慨深くもあります。

豚骨スープの作り方

※豚骨スープの作り方から始まります

スープの材料

水・・・・・・4リットル

げんこつ・・・1本

豚ガラ・・・・1kg

背脂・・・・・500g

ニンニク・・・1個

本来豚のカシラが使われていますが、手に入りにくいので背脂で代用し濃度を高めました。ニンニクは皮ごと横半分に割って投入。圧力鍋で1時間半ほど煮込み、火を止め30分脱圧します。

その後、焼豚の豚ロースブロックを加えて蓋をせずに弱火で煮込みます。とんこつラーメンと言いますが、実は骨自体に旨味はないんですよね。骨についている肉と脂が旨味のメインで骨髄や骨から出るのはコラーゲンという無味無臭の成分です。これがスープに粘度を与えて乳化状態を保ってくれるのです。

そのため焼豚をスープで煮込むというのは美味しいスープを作る上で、非常に重要な工程なのです。

スープで野菜を入れる場合は皮ごと入れるのがおすすめです。旨味が加わる他、余分なアクや油を吸着してくれます。

焼豚の作り方

※焼豚の作り方から始まります

焼豚

豚ロースブロック・・1かたまり

醤油・みりん・・・・適量で1:1の割合で使用

ハイミー・・・・・・適量

ブロック肉をスープで煮込みます。煮込む際は弱火で1時間ほどです。バラ肉の場合は強火で煮込んだ方が脂身が柔らかくなりますが、ロースなど赤みがメインの肉は弱火で煮る方が食感が良く仕上がります。

煮込んだ後は鍋やフライパンに油を引き表面を焼いていきます。焦げ目がついたらみりんを加えて絡めていきます。こうする事で糖分とタンパク質が絡みメイラード反応がすすみ香ばしく仕上がります。みりんにとろみがついてきたのを目安に醤油を加えてよく絡め、たれにとろみがついてきたら完成です。

 

なんつっ亭リスペクト!黒マー油の熊本ラーメンまとめ

なんつっ亭レシピ熊本ラーメンの作り方

背脂で代用したラーメンは非常に濃厚で美味しいラーメンに仕上がりました。しかし豚カシラを使った時のようなあっさりだけどクリーミーという味わいにはなっていないため「再現」という言葉は控えさせてもらいました。

とはいえ黒マー油のインパクトはすごいですね。正直なんつっ亭の魅力を支えるのはコレといっても過言じゃないくらい中毒になる味です。

ぶっちゃけなんつっ亭さんのラーメンはスーパーなどでも売られているので、黒マー油だけでも作ってみてください。これを大量投入すると飛ぶぞ!?

 

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