横浜に行くと必ず行きたくなるのが家系総本山吉村家で、本日もそのルーティンをこなしてきました。
注文はいつもの「中チャー玉子ライス麺固め」行列はあいかわらず長いけど時間帯もよく食券を購入してすぐに着席。
着席したらカップラーメンのような速さで丼が届く。本当に見事すぎるオペレーションには常に感服です。
まずは立ち上る湯気、醤油の香ばしい薫りを楽しみレンゲでスープをひと啜り。
醤油のキリッとした味わいと濃厚な豚骨の味が絡み合い「がつん」とくるこの味わい。
「これですよ!」と心の中で叫びながら麺をすすると
「アレ・・・?」と疑問が。。。いつもなら「ずぞぞぞぞ!」という感じが「ちゅるちゅるちゅる」という感じに
よくみたら麺が平打ち太麺ではなく中太麺になっていました。
お客様は我が味の師なり。ニーズに合わせる姿勢こそ吉村家
残念ではあるけど、もちろんお客さんのための苦渋の決断だったのだろうと容易に推測できます。16時という飲食店が閑散とする時間、多くの飲食店はお客さんがこないので中休みを撮る時間にもかかわらず僕の前には10人ほど並んでいました。
お客さんをできるだけまたせずに提供するには、限界まで研ぎ澄まされたオペレーションからの時間短縮は難しく茹で時間を短縮することでより早く提供する道を選んだのでしょう。
ここでかねてから感じていた「厚木家」さんこそ元祖の味を継承した「吉村家」だと確信したのです。
価格を変えずに創意工夫で乗り切ろうとした厚木家に感動

2018年頃だったと思いますが豚の価格が高騰した時期がありました。昨今のラーメン屋といえば豚骨ベースが主流で、需要が増えれば価格も上がっていく当然の流れですが、特に厚木家さんの影響は大きかったと思います。
地産地消を積極的に取り入れていたのでおそらく「厚木豚」というブランド豚の豚骨や肉を仕入れているのだと推測されます。
こうしたブランド豚ゆえに価格の影響はかなり大きく影響したのだと思われます。さらにスープの旨味を出すために厚木豚のバラ肉も使っており、これがとにかく響いたのだと思います。

通常のラーメン店であれば、スープのコクを出すための要素としてチャーシューが必須です。豚骨ラーメンの味は実は骨自体ににはさほどありません。髄液が味の決め手と思われるかもしれませんが、髄液から抽出されるのはコラーゲンという無味無臭のもので、スープの粘度に影響するけど味やコクには影響していません。ではどこから旨みやコクを抽出しているかというと、骨についた肉や脂から旨みの成分を抽出しています。
そのため煮豚というのはスープの味を濃厚にするために重要なファクターです。しかし、吉村家さん、厚木家さんが使っているのは焼き豚のため肉から旨みを抽出することができません。吉村家さんはシンプルに豚骨を大量に使うという方法と背脂で補っていましたが、厚木家さんがやっていたのがメニューでもある「厚木豚製厚切りチャーシュー」でスープのコクを生んでいました。
焼き豚チャーシューとは別にて供されている、ほろほろと口どけするあの厚切りチャーシューはスープのために生まれた副産物ということに驚き「スープのためにそこまでやるか!」と厚木家さんに惚れ込んだ一因でもあります。
前置きが長くなりましたが、ブランド豚の生豚骨、スープ専用の豚バラ肉これがダブルパンチで価格高騰の影響は非常に大きかったと思われます。
価格を変えないための創意工夫が生んだ幻のスープ!

現在はちょっとだけ値上げをしてチャーシューの枚数を変えて1000円以下に抑えるという形に落ち着いたようだけど、価格を上げるという決断は本当に最後の手段だったんでしょう。その前の試行錯誤には本当に感動した!
厚木家さんのスープは豚骨プラス豚バラ肉だったところを、焼き豚というアイデンティティを捨てわざわざスープのために使っていた豚バラ肉から煮豚に変えてスープの味を落とさず、価格も変えずに乗り切ろうとした時がありました。
日々大量に注文されるチャーシュー麺ですから煮豚の量も一般のラーメン屋さんの比にならないでしょう。そのチャーシューの旨みがスープに注ぎ込まれるわけですから、スープがめちゃめちゃ濃厚で家系ラーメンに慣れ親しんだ僕でも驚くうまさでした。その味は初めて家系ラーメンを食べた時の衝撃にも似た感動でした。
結局この1杯を食べれたのは2回だけで前述のようにちょっとの値上げとチャーシューの枚数と変える事に落ち着いたようですが、味を変えても価格を変えないという心意気には感服しました。
ちなみに吉村家さんは価格を変えずにチャーシューを薄くしたり、トッピングの価格を落としたりして対応しており価格を変えないという心意気を見せています。
ラーメンは庶民の味という事にこだわり1000円の壁を超えないようにするというのが総本山のポリシーなのでしょう。そこで生まれた創意工夫は忘れることのできない一杯として深く刻まれています。
家系は数あれど醤油が香り立つあの風味は吉村家直系でないと味わえないものです。麺が変わったというのは衝撃でしたが、お客さんを待たせない事を優先して麺を変えた吉村家さんもこの決断はかなりの冒険だったと思われます。
豚骨の需要も上がり原価も上がり続ける中、価格を変えないというこだわりは素晴らしいものです。だから味が落ちたなどとは思わないし、お客さんを大事にするからこそ今だに行列が途切れないラーメン屋さんとして君臨し続けているのでしょう。
奢りなく今でも繁盛し続ける吉村家ですが、味やお客の事を考え試行錯誤する姿勢を貫き続け、味に関しても今だに創意工夫を重ねる厚木屋さんに「吉村家を継承しているのは厚木家だ」と言いたいのです。
店名 | 家系総本山 吉村家 |
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お問い合わせ | 045-322-9988 |
住所 | |
交通手段 | 徒歩:相鉄本線、横浜市営地下鉄ブルーライン「横浜駅」より5分ほど JR「横浜駅」より6分ほど 京急本線「横浜駅」より8分ほど |
営業時間・ 定休日 | 営業時間 11:00~22:00 |
店名 | ラーメン 厚木家 (あつぎや) |
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お問い合わせ | 046-222-3888 |
住所 | |
交通手段 | 小田急線「本厚木」駅北口からバス 1番乗り場から神奈中バス・工科大学・鷲尾団地・半原方面行き「妻田」停留所下車、徒歩2分 毎時10本程度本厚木駅から2,109m |
営業時間・ 定休日 | 営業時間 [月~日] 11:00~23:00(L.O.22:40) |