麻婆豆腐は成都の北郊外の万福橋で陳興盛飯舖を営む陳森富の妻劉氏が材料の乏しい中、有り合わせの材料で来客(労働者)向けに作ったのが最初とされています。
陳劉氏の顏にはあばた(麻点)があったため、「陳麻婆」と呼ばれていたので、彼女が作る名物の豆腐料理も「陳麻婆豆腐」と呼ばれました。これが麻婆豆腐の源流とされやがて庶民の味として親しまれるようになりました。
四川麻婆豆腐の特徴
四川麻婆豆腐の特徴といえば唐辛子の辛さである「辣味」(ラーウェイ)と花椒(ホワジョア)の痺れるような辛さである「麻味」(マーウェイ)でしょう。様々な辛味とスパイスの香味が一体となり、深い味わいを織り成します。
手作り豆腐と無化調という試みで古来の味を作り出す
今回作る四川麻婆豆腐はひき肉ではなく、豚ロースと牛ロースを叩き作りました。豆腐も大豆から作り、スープは手羽元から出汁をとり作ったスープです。ラー油も手作りです。高級な素材は何一つ使っていませんが、手間暇かけることで極上の味を作り出す。これも料理の醍醐味です。
様々な料理に使える鶏がらスープストック
まずスープストックを作ります。
材料
- 手羽元 300g
- 昆布 1枚(15cmほど)
- たまねぎ 1個
- 干し椎茸 1〜2個
- 塩 少々
- 水 1.5L
塩を手羽元に軽く揉み込みます。
材料をすべて鍋に入れ圧力鍋で15分、通常の鍋で40分ほど煮込みます。スープを濁らせたくない場合はアクを取りますが、アクも旨味なので気にならなければアクは取らずにそのまま煮込み完成です。 手羽元の軟骨からコラーゲンがたっぷりとれるため、鶏ガラなどを使うよりもコクの深いスープが仕上がります。
骨から身をほぐした鶏肉をぽん酢・オニオンスライス・キュウリの千切りなどを和えるだけで絶品の副菜ができあがります。
手作りラー油の作り方
ラー油作りは麻婆豆腐に使われるスパイス類から簡単に作ることができます。
材料
- 刻みニンニク
- 刻みネギ
- 赤唐辛子(粉末)
- 花椒
- 五香粉(あれば)
- サラダ油
- ごま油
油以外の材料を耐熱性のある容器に入れます。材料が湿る程度の水を加えます。サラダ油を熱し、少量の刻みネギを加えます(油の温度を確認するため)ネギが茶色く色づき始めたら火を止め容器に注ぎます。温度が高すぎる場合はごま油を入れて温度を調整します。最後にごま油を加え完成です。ごま油は熱しすぎると風味が飛び、苦味が出てしまうため、常温のまま加えたほうが失敗が少ないです。
手作りひき肉が美味しい理由
一般的に市販されているひき肉よりも豚ロース肉、牛肉を細かく刻んで作ったひき肉の方がはるかに美味しいひき肉が仕上がります。そもそも市販のひき肉は豚と牛の合挽き肉を作る手間暇を加えているのに通常の肉より安いのでしょう?
ひき肉の多くは牛と豚の合挽き肉であればコストの高い牛の味は牛脂によって調整されていることが多く、また表面積の多く酸化しやすいはずのひき肉が実際の肉よりも鮮やかな色の場合が多いのは何故でしょう?発色剤などの添加物によって色好く保っているからに他なりません。
これらの理由によりひき肉は手作りしたほうが圧倒的に美味しいのです。
本格四川麻婆豆腐作り方
今回の麻婆豆腐のレシピをYoutubeで動画にしてみました。
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材料(2〜3人前)
- 豆腐 1丁
- ひき肉 150g
- ニンニクの芽 2〜3本
- スープ 200cc
調味料
- ニンニク 1片
- 刻みネギ 1/2本
- 豆豉 大さじ1
- 豆板醤 大さじ2
- ラー油 大さじ2
- 花椒 大さじ2
- 甜麺醤 大さじ1
- 醤油 大さじ1
肉味噌を作る
下ごしらえ 豆腐を茹でておく
1
牛脂を引き、脂が溶けたらひき肉を炒めます。ひき肉は軽くバラしたらそのまま動かさずしばらく焼き色を入れていきます。表面積が150℃を超えたあたりでメイラード反応が起こり香ばしい香りが立ち上ります。この状態になる前に鍋を煽ってしまうと肉汁が外に出てしまいます。通常の肉を焼くように裏返し肉の表面を固め旨味を閉じ込めます。
2
甜麺醤・醤油を加え調味料が全体に行き渡るように炒めます。汁気が軽く飛んだのを見計らい器に取り出します。
3
鍋にラー油おおさじ2・豆板醤大さじ2を入れて豆板醤の香りを立たせます。焦げ付く前にスープ200ccを加え沸騰させます。
4
豆腐を加え軽く煮込みます。ニンニクの芽、先ほど作った肉味噌を加えます。
5
水溶き片栗粉を少しづつ加えます。よくかき混ぜながら加えトロミが均等になるようにします。粘化が完了していない状態で火を外してしまうと後でトロミがなくなってしまう事があるのでトロミを焼くようなイメージでしっかりと火入れしたら刻みネギを加え花椒をたっぷりかけて完成です。
突き抜ける辛さ!抜けてゆく痺れこれが本当の麻婆豆腐
牛脂で炒めたひき肉は肉汁たっぷりと蓄え口に入れた瞬間旨味が弾けます。豆板醤・唐辛子などかなり多く使用したため辛味が強いはずですが、化学調味料を使わず作ったスープが後味をすっきりとさせてくれます。
そして手作り豆腐の存在感は大きいですね。濃厚な大豆の風味が辛味と肉の味をしっかりと受け止めてくれています。
化学調味料を使わないで作ったため各スパイスの輪郭がはっきりとしており、それぞれの旨味が咀嚼によって渾然となっていくのはまさに口福といえるでしょう。
スープ・ラー油・豆腐・ひき肉と手間暇かけて作った甲斐がありました。